小学生の頃

ふと思い出した事がある。話した事も有ると思うので、この日記を見ている人のほとんどが知っている人だとすると「またかよ」って思われるかもしれない。


僕の家はとにかく貧乏だった。今でこそ1軒屋に住んではいるが、16年位前迄、僕が小学生の頃はトイレが「ぼっとん便所」の借家に住んでいた位貧乏だった。そんな当時も僕は貧乏だからって卑屈にならず(というかそれが結構普通なんだと思っていた)毎日野生児の如く野山を駆け巡り、気が狂ったように遊んでいた、というか狂っていた。


そんなとある日、朝のHRで先生がおかしな注意をした事があった。「学校ではお菓子を食べたらイカン!」は?何言っとんじゃいこの先生は?小学生当時の僕にとってお菓子は友達の家で食べるか、家ではたまに手伝いをしてやっと食べれる、もしくは遠足の時に持って行くとても神聖なモノ。お菓子を学校で食べるなんて考えもしなかった。


でもいたんだ!昼休み食ってたヤツが!それは成金のブサイクな娘、今ではおそらく嫁の貰い手がないであろうと分析する。それもその当時の小学生があこがれていたお菓子、「ぱちぱちクン」(たしかこんな名前だったと思う)。そのお菓子はアメちゃんを粉々に砕いた感じで、口に含むと口の中でパチパチパチっと弾ける代物。今でもあるのかな?


「おい○○!学校でお菓子食ったらいかんとぞ!」と注意する僕らは「ぱちぱちクン」を凝視していた。「バラさんかいくれ!」と裏切るヤツ続出だったが「食べてないよ!」と認めないそいつの口元は間違いなくパチパチしていた。「ぱちぱちクン」は水分を含むとパチパチする為、バレないように急いで食ったそいつはあろう事か言い訳の最中に口元でパチパチしてしまっていた。


結局そいつは最後まで認めなかったが状況証拠から別の女の子にチクられ、ポケットの中の「ぱちぱちクン」という物的証拠を突き付けられ最後は観念して御用となった。先生にしょっ引かれた時、僕ら貧乏小学生軍団は勝ち誇っていたが、そいつの親はPTAの偉いさんでその後、見事無罪放免を勝ち取っていた。


結局世の中の理不尽なルールをまざまざと見せ付けられた出来事だったが、その後、取り上げられた「ぱちぱちクン」を先生の机から盗んだ僕らはもっと怒られて鉄拳制裁をくらった。その時みんな怒られながら口元がパチパチしていた。