仙台へ 前編

nosweat2005-10-04

今日、電車の中で豪快にケツをかいてるいい女を見た、げんなりした。


先日、仙台に行ってきた。ブログに書いたようにバイクで行こうとしたのだが、出発前に天気が微妙だった為、前々日まで待ってバスの申し込みに踏み切った所、現地は快晴。しかしそんな事はどーでもいいくらい楽しい旅であった。


しかし国内では初めて高速バスなるモノで旅をした訳であるが、正直車中は最悪だった。新宿西口から仙台駅東口まで片道およそ5時間。その間1回20分の休憩に2度停まったので、実質約4時間弱。時間にすると何てこと無いが、ネットで探した往復6,800円という格安なそのバスは恐ろしく狭かった。HP上で「ヘッドホンの音量には気を付けて下さい」「隣まで10センチ位です」とあったが、そんな訳ねぇ〜、とか思っていたら甘かった。正に密着、隣の人とくっついていたのである。人間は暖かい。


しかも行きの席、前後は可愛い女のコだったのに僕の隣は萌えな漫画を薄ら笑いで読んでいるオタク(と密着)。通路を挟んで反対の隣は変な宗教の本をブツブツ読んでいる中年女性と、その更に隣は金髪に染めているのにハゲているおっさん。その1画だけ「ユカイな変体仲間の丸秘珍道中、東京-仙台の旅編」であった。


ま〜安いししょうがない、しかも後4時間位だーって、思っていたら僕の臭いレーダー「H.A.N.A」がある異変を捉えた。クサい…しかも「カテゴリー5」並みのクサさであった。脳内FEMA連邦危機管理局)が「evacuation order!エビバデイバキュエートッ!」って避難命令を出していた。


新手のバイオテロか!?薄れゆく意識の中思った。しかし危機の時こそ冷静に行動しなければいけない、パニックに陥った人間が死ぬのだ。そう言っていたサンジャポ危機管理局テレンス・リー氏の言葉を思い出し、勇気を振り絞り、じっちゃんの名にかけて毒ガスの出所を探った。宗教おばさんか…?クンクン違う…。金髪ハゲか…?クンクン違う…。前後の女のコか…?クンクンクンクンクンスーハースーハーチガーウッ!(アイドルはへをしない)


消去法で犯人がわかった。世界最強アメリカ軍のイラクでの困難な戦いの訳が身に染みてわかった。テロリストはひっそりと一般市民に紛れて潜伏していたのである。かなりの臭いから出所は近い事がわかる…そう、犯人は隣のオタクだ!


目が合った。目線を漫画に戻した。汗をかいていた。そして二度と僕の方を見なかった。惨劇の現場で、薄ら笑うテロリストがそこにはいた。


ガッデーム!なに笑ってやがんだコンチクショーッ!しかしこんなに立証が難しい犯罪も無い、証拠が何一つ無いのだ。証拠は全て皆の肺の中、下手するとこっちの喋る息が臭い。そして恐らく問い詰めた所で工作員は口を割らないだろう、逆に訴えられたら「名誉毀損」である。なれば取る手立ては一つ、我慢するしかない。


前後の女のコが「何か臭くない?」「何この臭い?」ヒソヒソ言っている…。僕は臭さから逃げたくてモゾモゾ動いていた、オタクは微動だにせず漫画を読んでいる。うんこ我慢してポジション変えてんのはオレっぽいじゃん!信じてくれ、オレじゃない!テロの悲しみがまた新たな悲劇を生む、テロが無くならない理由を実感した。


落ち着けオレ、考えろ考えるんだこんな時は。生き残りたいなら頭を働かせろ!仙台まで5時間、うち20分の休憩が2回って事は単純に(300分-40分)÷3ストップ。およそ1時間半(約87分)に一度停まる計算だ。そうこう考えてるうちに最初の休憩に着いた。ありがとう神様、無神論者の僕ではあるが見ず知らずの神様に心から「ありがとう」が言えた。


いけねーいけねー僕が通路側、僕が出ないと出れないもんねゴメンネオタク☆先に出てインターのトイレで聖水をたしなむ。出てタバコを一服。夜の高速のインターにはあまり人がおらず、肌寒い風が心地よかった。1時間半ぶりに吸うタバコが妙にウマイ。


迷惑をかけちゃいけないと思い早めに戻ると既にオタクがいらっしゃる、あれ…?オレが先に下りてトイレに行っただろ?オレは小、オタクは大のハズ。僕が当然早く出てトイレの前にある喫煙所でタバコを吸っていた計算だが、オタクがトイレから出たの見てないよ?


ブーン、っていきなり出発。降りる前にバイトらしき責任者っぽい人が「出発の際には点呼しませんので必ず時間通りバスに戻って下さい」と言っていたのを思い出す。まさかマジで確認しないとは恐るべし。「NOーーーーッ!」ってならないのかな?


出発後判明、トイレから出たのを見ていないのではない、降りてなかったようなのだ。事実次の休憩まで臭かった。怒りを通り越し、悟りを開いてしまった僕は無我の境地で乗り切った。「心頭滅却すれば火もまた涼し」とはよくいったものだ、先人の知恵にはいつも感嘆させられる。2回目の休憩で降りたオタクの後をトイレまで付け、大に入るのを確認しタバコを吸った。安心感と人気の無いインター、そして肌寒い風が心地よく、また1時間半ぶりのタバコがさっきより更にウマかった。


やはりなんのアナウンスもなく2回目の休憩を終え出発したバスの中は、事件前の静寂に戻っていた。後ろの席の可愛い女のコにヒゲが生えていたのを除いて。つづく