風邪の恐怖


先日友達と二人で一杯の牛丼を分け合った。


貧乏なのは捻じ曲げようの無い事実なのだが僕らもいい歳、吉野家の牛丼の「並」くらい金額を確認せずとも(給料日前でなければ)一人一杯ずつ余裕で食える。しかし会ってすぐ友達が「メシ食った?」って聞いてきたので「じゃ牛丼でも食いに行くか」って吉野家へ行った。「ご注文は?」「…」


「メシ食った?」→オレは食ったけどお前食った?
「じゃ牛丼でも食いに行くか?」→オレは食ったけどお前食ってないんだ?


だったのだ!日本語は難しい。出ようとしたのだが金だけは持っているので無駄使いしてみましたこんばんわDJnosweatです。意外とこんな無駄使いが日本経済デフレ脱却の切り札だったりする事を期待する。


その友達とは渋谷で待ち合わせしたのだが、待ち合わせ場所に向かう時に「風邪をひかない風邪薬有ります」という看板を見た。しかも手書き、かなりいかがわしい。だってそれって風邪予防薬であり、ホントに風邪ひかないんだったら人類を救う魔法の薬だ。魔都「渋谷」、欲望の街の住人は「マブ?マブすげぇ〜!ありえなくない?」なんつって買うのだろうが僕は買わない、だって興味は物凄く有るが金が無いから。


そして本日、仕事が終わって交番に行ってきた。僕のバイクのナンバープレートだけが取られてしまった為で、被害届けだけ出して帰ってきた。考え方によってはバイク自体は無事だったので、ナンバープレートが無いので乗れないが、まぁまだマシだ。


実際は朝交番に行って相談した。現場検証したりするんだろうと思っていた僕は、事情を伝え、仕事があるので夜もう一度来ると言って会社に向かった。その時対応してくれた多分僕より年下であろうそのおまわりさんは凄く丁寧な方で、僕がこの後仕事に行かなければならない事や、1階が大家さんなので朝っぱらからおまわりさんが来たら心配するので、いずれにしても夜にして欲しい、という僕の要望を聞き入れてくれた。


帰ってきて朝のおまわりさんが「仕事が終わって用意が出来たら電話を下さい、夜の者に伝えておきますので」と言っていたので、教えてくれた交番の番号にかけてみた。印鑑と身分証明書、バイクのナンバー等を確認出来る書類を持って来いとの事。なんか朝のおまわりさんより感じワリーな、と思いながらも言われた物を揃えて交番へ向かった。


グズグズに風邪をひいているおまわりさんがいた、歳の頃およそ50。「風邪ひいてない?ズーッ」「いやひいてないっス」「え〜?ズーッだって流行ってるでしょ?鳥インフルエンザ?」「鳥インフルエンザって人間に感染した例は世界的にもマレらしいっスよ。普通の風邪ですよ」ホントに鳥インフルエンザなら隔離だよ、あんた日本人第一号。とか思ってたら「はい、これ書いてズーッ」って、振っといてシカトかよ、放置プレイか?


名前と住所のみ書いておまわりさんとの質疑応答。話していると結構生真面目そうなおまわりさんだ、きっと忠実に職務をまっとうされているのだろう。「いつ気付いたの?ズーッ」「昨日の夜っス」「いつまであったの?ズーッ」「え〜?最近乗ってないんで最後いつだったかな〜?」って答えたら突然「大体でいいんだよ!大体でっ!ズズーッ!」てキレだした。「1ヶ月前位っスかね?」「1ヶ月前ね」元に戻った。「大体っスよ、大体」「いいんだよ大体でっ!ズーーッ!」またキレた。いいのかよ大体で…奥さんとウマくいってないのかな?そう思ったら結婚指輪をしていなかった、外した痕も見受けられない。少し同情した。


そして交番でのやり取りもクライマックスも近づいた頃、印鑑が必要になった。書類を見ながら印鑑を押そうとしたそのおまわりさんはあろう事か、朱肉入れのフタに印鑑を押し付け印鑑を押してしまったのである!「カツッ」って印鑑を朱肉入れのフタに付けては押す、印鑑が付かなくなるまで繰り返した。


ダメだ〜っ!笑ってしまう!気付けよ!頼む気付いてくれっ!「カツッ」って聞こえてるし、感触でわかるダロ〜ッ!あれ?おかしいな?ハァーって息印鑑に吹きかけてる場合じゃねぇ〜よ!


そこへ無線が入った。ガー「酔っ払いが絡んでいるとの事、向かえますか?」ガー「あーこちら今被害届け受理中」


行けーっ!お前行ってよーーしっ!!現場へ急行せよーーー!!!頼む笑わせてくれぇ〜っ!って


「で、何が盗られたんだっけ?」


負けたよコイツ天才だ。大爆笑している僕を怪訝な目で見ているおまわりさんは「思い出し笑いか?」って更に僕を笑わせてくれた。


その後はちゃんと印鑑を朱肉に着地させる事に成功していたが、僕は昔にもバイク関係で警察にお世話になった事がある。地元の繁華街のド真ん中に停めていた僕のバイクの鍵穴をハサミで回そうとしていたバカを現行犯で見つけたが、勇気が無いので取り逃がした時だった。その時は鑑識の人が来て街中の皆が見ている前で被害にあった鍵穴とかバイクを指差したりしているショットを激撮されたりするという辱しめを受けた。


今回は被害届け出しただけで鑑識の人は来ておらず、そんな辱めを受けずに済んだ。それでも僕を勇気付けるように最後に「大丈夫、捕まえたら連絡入れるから」って単にイタズラで、オレのナンバーが悪用されなかったら指紋も取ってねぇのに捕まえようがねぇーじゃねぇーかって、ツボにハマっていた僕をまた更に笑わせてくれたからよしとする。いくら風邪ひいてるからってあのおまわりさん昇進決定!座布団2枚持ってきて山田くん!あと「風邪をひかない風邪薬」も一緒にね!