森の輪郭

nosweat2006-05-11


ゴールデンウィークにまた地元に帰ったら、お姉ちゃんは岩盤浴に、お母さんは浪曲に、お父さんは韓流ドラマにハマっていた。


ゴールデンウィーク中に親戚の結婚式があったので「その方が飛行機代が安いから」という理由で、9連休という社会人としてはあるまじき何とも無茶な要望を上司に突き付け、4月28日金曜日の最終便で地元へ帰り、5月8日月曜日に戻りそのまま出社したのだが、そのゴールデンウィークの最中にまた、やってしまった。


実は僕にはごく最近まで、年末になると決まってもらしてしまうというジンクスがあった。地元に帰り、気もアナルも緩んでの不幸なその結果は無論「大」の方。そのジンクスも去年の年末で途切れてしまい、古い友人をなくしてしまったかの様な哀愁を漂わせていた先日、またやってしまった。


過去にカゼをひいてもらしてしまった時、実の母親に「臭いから近づかないで」と言われたトラウマから打ち明ける事ができず、その母が父に内緒で勝手に父の保険を解約して作ったという五右衛門風呂で、眼下に広がる広大な海と森を眺めつつ、今年29歳になる僕は一人寂しくパンツを洗いながら「親父に何かあって困るのはアンタ(母)だろ…」と、思わずにいられなかった。


「海が見える所に住みたい」との母親の一存で決まってしまった、僕が東京にいる間に引っ越した実家の五右衛門風呂は離れになっていて庭にあり、その五右衛門風呂から見える景色は正に絶景で、昼は青い空と海が、夕方は夕焼けのオレンジにまどろむ海が、夜は暗い海を照らす白い月が、とても素敵な場所であり、その雄大な光景を風呂に入りながら独り占めできる僕は、とても幸せを感じていたうんこもらしたのに。


風呂に入りながらぼんやりとイロイロ考えた。男29歳、友人や周りの人間は少しづつだが結婚して家庭を持ち、仕事を着実にこなし、将来の為に頑張っている…。そりゃあそれぞれ皆悩みを抱えているんだろうが、それに比べて僕はどうなんだろう?オレ何やってんだろ…?


風呂から見える景色で、森がある。夜になると森の向こう側がちょっとした町になっているせいか、森の輪郭が光って見える。森の輪郭…?どこからどこまでが森なんだろう?それともあれは林っていうのかな?森と林の違いって?あの一本だけ少し離れている木も森の一部に入るんだろうか…?


僕の人生はきっと両親や友人、知り合いなんかの木に囲まれた森なんだと思う。会った事の無い親戚や、知り合いの知り合いは僕の枝が届かないくらいの位置に根をおろしている人であって、生きていてお互い存在すら知りえない人っていうのは、きっとまったく違う森の住人なんだろうと思う。


今まで僕は、僕は木で、僕自身が大きく育てばそれでいいと思っていた。だがそれでは限界があるし、そんな風に思い身勝手に生きてきた僕にも、見渡せば両親や友人といった木が添い茂り、その友人の友人や親戚といった木が、やはりその周りに集まっており、あぁ僕も森の住人なんだなぁと、夜の森の輪郭を見て、ぼんやりとそう思った。


だから僕は、今は僕の森を大きく育ててみる事にしようと思った。いろんな人と知り合って、話して、聞いて、勉強して、いろんな場所に行って、遊んで、いろんな木が育つ豊かな生態系を育む大きな森を育ててみようと思う。そして太く大きな幹を持つ僕の枝葉は森の隅々にまで生い茂り、幹を支える頑丈な根は大地に深く根ざし、ガケ崩れや台風から皆を守れるようになろう。


そんな事を考えたと、風呂から上がって一緒に呑みながら話した友人はとても冷静で、良い事いってんな〜と、酒と自分に酔っていた僕に「まずもらさんようにしろ」と忠告してくれた。できる男だ。そして結局何をすればそうなれるか皆目検討も付かないままデロデロになるまで呑んで、次の日また五右衛門風呂に入り酒を抜いた。そして当面の目標として「もらさない」という事を固く心に誓った。


ちなみになぜもらしたかというと、今回は友達と遊んでいた時に「へか実か一か八かやってみる」という男気を見せたら「アウッ」ってなってしまった。スマン面目無い。でも水だから、半分。


そんなゴールデンウィークも終わり、東京に戻って参りました。


ここの所何かと忙しくていろいろとサボっていました。大きな森を育てる一環として、頑張ってまた邁進してゆく所存ですので、皆様ご愛顧宜しくお願い申し上げます。


でも…そーえいば森の木を伐採してたいてるんだよな〜あの五右衛門風呂。僕は焼死だけはイヤだ。スマンがお知り合いの皆様、僕の森が伐採にあったら身代わりよろしゅう。DJnosweatでした。